栗原政史が届ける、映像を通じた“学び”の可能性

映像クリエイターとして活動する栗原政史は、ここ数年、教育分野での映像活用に力を入れている。教育用YouTubeコンテンツの制作をはじめ、自治体と連携した小中学校向けの映像教材など、彼の作品は“教える”という行為に新たなアプローチをもたらしている。

彼の映像に共通しているのは、「言葉で説明しすぎない」こと。映像の流れや情景描写を通じて、見る側に“感じさせる”余白を意識して作られている。その結果、子どもたちの感想には「なんだか気になった」「もっと知りたくなった」といった言葉が並ぶ。
栗原政史にとって、教育とは“情報を与えること”ではなく、“心を動かす体験を届けること”なのだ。

映像を通じた「地方のリアル」の発信

活動拠点は鳥取県。都会からは遠く離れた地域に身を置く理由について、栗原政史は「“リアル”が詰まっているから」と語る。

彼が手がける地域ドキュメンタリーシリーズでは、地元の農家、漁師、職人たちの日常が淡々と、しかし美しく切り取られている。これらの映像は地元の学校でも活用されており、地元の子どもたちが“自分たちの暮らす場所の価値”に気づくきっかけとなっている。

「かっこいいものは都市にあると思っていた。でも、じいちゃんの漁の映像を見て、“こっちの方がすごい”って感じた」──
これは、彼の映像を見た地元の中学生の言葉だ。

映像は記録であり、未来への贈り物でもある。栗原の目線を通して切り取られた風景は、見る人の心にじんわりと届いていく。

子どもたち自身が“つくり手”になる現場

最近では、学校現場と連携して“子どもたち自身が映像をつくる”プロジェクトも始まっている。脚本から撮影、編集までを体験することで、単なる受け身の学びではない「表現する楽しさ」を体感できるように設計されている。

「自分の感じたことをカメラで残す。それだけで、“世界の見え方”が少し変わるんです」と栗原政史は言う。

小学生が地域の魅力をインタビュー形式で撮影した映像や、中学生が自分たちの校舎をテーマに作ったミニドキュメンタリーなど、完成した作品はどれも拙くもまっすぐで、見る側に強く訴えかけてくる力を持っている。

彼のプロジェクトを通じて、多くの子どもたちが「伝える」ことの面白さに気づき始めているのだ。

「映像は“未来に向けた手紙”になる」

栗原政史が制作したある映像作品には、こんな言葉がテロップとして静かに表示されていた。

「ぼくたちの毎日は、誰かにとっての宝物になるかもしれない。」

彼の作品には、決して派手な演出はない。けれど、ふとした風景や日常の言葉に、思わず胸が熱くなる瞬間がある。
映像とは、情報を届ける手段であると同時に、感情を通わせる“橋”でもある。そう信じているからこそ、栗原政史は今日もカメラを持ち、地方の現場へと足を運び続けている。

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